ボーカル録音について書きます。
 といっても今回はミックスダウンでの細かいテクニックです。上手い歌なら必要のない作業かもしれません。

 最近は自分でボーカルをやらなくなったので気にしなくなったけど、自分が歌うときは、とにかくボーカルを上手く聴かせたい一心で作業してました。
 その為、歌をごまかすという後ろ向きなテクニックを常に試していたように思う。

 それらを紹介したい思います。

ダブルトラック
 同じ歌を二回歌って重ねること。これは誰もが知ってるし、誰もがやったことがあると思うが、やったことない人は一度試して欲しい。SING LIKE TALKINGの佐藤竹善曰く「これを最初にやったのはビートルズ。その頃はアナログ録音で、シングルだとちょっと弱いからダブルにして、メロディーのインパクトを前に出したんですよね。でも、今は僕にしてもわざとダブルにして、メインで歌った声とは違うトーンの声を重ねて新たな効果を生み出すということなんですよ」

 サビや1フレーズだけダブルトラックというのはよく聴きますが、歌いだしから全部ダブルトラックというのはちょっと勇気がいります。

 ミスチルのイノセントワールドとか、初期の中村一義とかがそうです。
 PUFFYも二人ダブルトラックって感じかな。

 声の特徴が強い場合、それを和らげる効果もあると思う。それを意識してデビュー当時のミスチルはダブルトラックが多いのではないだろうか。 

 ま、僕のダブルトラックの目的はピッチの安定。それにつきます。

歪みボーカル
 これはストロークスのイズ・ディス・イットを聴いて真似てみたんですが、曲によってはローファイのボーカルの方が合う場合もある。EQで低域と高域を思いっきりカットして、ディストーションでもかければ出来上がりだ。

 ここまで歪ませなくても、ちょっとくらい歪ませるのはプロの間でも常套手段だそうだ。DISTRESSORを薄くかけたりするそうです。

 こんなの高くて買えないという人、cubaseSXにはMagnetoというものがあるのでお勧めです。微妙な歪みなので僕はそういうの苦手ですが。
 CubaseSXなんて持ってないという人は、これを薦めます。僕は普段ボーカルのミックスにほとんどこれを使います。なぜか僕の気に入るプラグインはフリーが多いのですが、Voxengo Tube Ampです。これは感動ものです。歌が生きてきます。ボーカル用に作られてないみたいですけど、これがないと何か物足りなくなってしまいます。

ハモリは必ずダブル以上のトラック数で
 これもピッチの安定と重厚さを出すため。出来れば右に2、左に2という感じで。

裏声ユニゾン
 これは宅録おやじコイルがよく使っていた方法です。Aメロなんかに使えます。メインが低いときに、裏声でオクターブ上を歌うのです。ばっちり決まればすごいかっこいいです。

波形編集
 これも後ろ向きなテクニックですが、やれることはやるべきです。タイミングの修正なんて毎回やります。ハモリとかダブルトラックも言葉ごとに合わせたりします。

オートメーション
 歌いだしの瞬間ボリュームをあげるとか、ちょっと自信のないフレーズの時はボリューム下げるとか、そんな感じです。これも時間をかけてやるべきです。コンプだけでは難しいので。

 波形編集とオートメーションのポイントは、歌いだしから10秒くらいに全身全霊をかけることです。聴き手はここまででだいたい曲の評価をしてしまいます。このまま聴いていたいか、もう聴きたくないかという感じで。

 上の画像はコイルのデビュー作である。宅録ということが強調されるけど、コイルのすごさはメロディーだ。ビートルズ聴こうと思うならコイルのほうを薦める。それぐらいコイルの世界感は完成されている。

 普段、テレビに出てくるような人のCDしか買わない人が、変にかっこつけて、外国の名盤なんか聴いても何にも感動しない。評判のいいインディーズバンドのCDを聴いてもパッとしない。
 そう、昔の僕がそうだった。

 でもコイルは違う。コイルはポップだ。特に初期は。
 
 音楽なんてそんなこだわりがないという人でも満足して聴けると思う。
 こんな良い曲ばかり揃ってる作品が売れないなんてどうかしてる。